院免増加は時代の流れ?
税理士試験と言えば5科目揃えて官報に名前を載せることが王道と呼ばれてました。
特に簿財+国税三法(法人税・所得税・相続税)の組み合わせで合格した人の尊敬のされ方はハンパなかったです。
一方で大学院で論文書いて税法科目を免除するというやり方も前からありました。
税理士法改正前は税法0科目でも税理士になれちゃう時代もありました。
その時代は社会人が税理士へキャリアチェンジをする際の裏技的な要素が強かったような気がします。
実際、当時の大学院で税理士試験免除を狙う学生はオッサン・おばさんばかりたった、という話があります。
しかし、現在は若くても初めから大学院の免除を活用して税理士登録を目指す人が増えてきてる感じがします。
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大学院を選ぶ背景
税理士試験の合格率から考えると、難しい税法の合格を狙うより
税法免除がほぼ確定する大学院を選んだ方が合理的
というのが最近の受験生の考え方らしいです。
税理士試験を選んで、人生設計が狂うリスクを排除するために、都会の大学生は大学院に行くのだと思います。
国税通則法も税理士法も会社法も試験範囲になく、採点基準も不透明な条文暗記マシーンの現試験が改まらない限りは、大学院に行くことを推奨します。
なお、大学院は甘くないですよ。
— ミラル@税理士 (@miraru_tax) December 14, 2024
「人生設計が狂う」というのは人に依るかとは思いますが
税法科目を全部合格するまでにかかる受講料や勉強時間を考えるならなおさらですね。
受験生もSNSで情報収集する人が多いので
「ラクに合格できた!」
というエピソードとか目に入ると余計にそっちを選びたくなると思います。
授業料も論文の通りやすさも大学院別に
なんなら教授別まで情報がシェアされてたりします。
お金に余裕があれば確かに大学院を選ぶのが結果的に早くて確実に思えますね。
あとは、大学院に通えるように定時帰りをサポートしてくれる税理士法人なんかも増えてきて、受験生の環境も昔とはだいぶ変わってきたのも大きいのかもしれません。
会計事務所や税理士法人も今は人手不足。
受験生にできるだけ有利な条件での働き方を提案しないと
人が集まらなくなってきてるので院免の受験生も歓迎する流れができてるように見受けられます。
雇う側の本音を言えば
法人税と消費税の知識を持った人を雇いたいところでしょうけど
そういう優良人材は大手に取られちゃってますからね。
受験生側の考え方
「大学院を活用した免除を狙うと、税法の知識は税法受験生には及ばない」
なんてことは勿論理解してます。
そんなことより、とっとと税理士になって実務を通して税法を学べばいい!
という考え方が、院免受験生の王道になっているようです。
5科目揃えた人にとっては邪道に思える考え方ですが、
最初っから大手税理士法人で働き続けることを考えているなら全然アリな発想と言えそうです。
将来的な独立を考えるのであれば5科目揃えた人の方が、
税法の知識も幅広く備えてますから仕事の守備範囲も広く構えることができ
盤石なサービス提供が開業当初からできるかと思います。
一方で大手税理士法人に勤める場合は、
扱う仕事が専門特化したものになることが多く、
幅広い知識より扱う案件に沿ったマニアックな規定の知識と
節税スキームの検討などがメインになったりするんですよね。
ちょっと偏見が過ぎる例でしたが
最初っから大手を狙う場合は税理士になるまでのプロセスはそこまで重要じゃない!
というのが自然な考え方なのかもしれません。
開業を考えるなら5科目合格
税理士として独立開業を狙うなら5科目合格を狙う方がいいかもしれません。
この話は私も聞いたことがあります。
院免開業税理士で稼げるのは二世だけという意見が多かったので院には行きませんでした
— みなと開業税理士B'z好き (@min_sakura_saku) December 15, 2024
「税法に詳しくないから」という意見もありますが
あの試験を頑張り抜く力がないと、
そもそも自分の腕で実務で戦っていくのは難しい、
という考え方があるのかもしれません。
働きながら税理士試験で5科目揃えた方は
自己管理能力とか期限までの追い込み力、
失敗からの立ち直りなど、尋常じゃない経験をされてる方が多いです。
だからこそ開業した後も立派にこなしていけるのでは?
と思うところではあります。
まあ、院免で成功してる人も知ってますけどね。
その人の場合は税理士業以外の収入が桁違いなので参考になりませんでした(^^;)
まとめ
税理士になるまでのプロセスを重視する方は5科目合格に価値を置きますが
自分が就きたい仕事を優先したり受験の負担を減らしたい方は
院免を活用するのが合理的と言えそうです。
あとは税理士の仕事って受かってからが本番ですから
結果が同じなら別にどっちでもいいと言えるかと。
ただ、税法受かった立場から言わせていただくと
やはり税法を極めた経験って実務ついてから凄く活きてきてる感じはあります。
税制改正にも条文ベースで対応できますし
会計ソフトの入力漏れも計算過程から逆算して気づけたりします。
あとは、独立開業を考えているなら
5科目揃えて、胆力を養うのも大事なんじゃないかと思うところはあります。
院免活用には一長一短がある、というのが現時点での結論です。
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